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電車もビルもおわりの道具にみえたら

 

少しだけ多めに眠剤を飲んだ日の朝は、

それはもう笑えるくらいに

頭がすっきりとしていた。冴え渡っていた。

 

虚しかった。

 

隅々まで掃かれた頭。

自己嫌悪の埃が溜まるまで、

そう長くはないだろう、と思う。

 

 

いつから人に優しくすることが

できなくなっちゃったんだろう

 

いつから人の優しさを受け取ることが

できなくなっちゃったんだろう

 

貼り付けた笑顔が上手くなっていく

 

 

「成長すること」と「大人になること」は

全く違うことなのだと

20歳になってやっとわかった。

 

時間は待ってくれない。

身体は醜く老いていくのに

心はまだ7歳のまま。

 

誕生日を目前に母がいなくなった、

あの7歳の秋から、止まったまま。

 

鬱と金木犀がよく似合うのは、

きっとあなたのせい。