246

横に座るきみが、どうしようもなく愛おしく、かわいい、かわいいと言ってなでていた。

そしたら、いつのまにかきみのことぐちゃぐちゃにしていた、いつのまにかきみにぐちゃぐちゃにされていた。

なにもかも、全部ぐちゃぐちゃに混ざりあった、炭酸水で流し込もうか、甘ったるいトニックウォーター、甘ったるい君の唾液、ぱちぱち弾けて、どろどろに溶けていく。あたま。からだ。

とける、とろける、境目みえなくなっている。あまい。あまいなあ、あまったるい、というひらがな、まるい。やわらかい。今だけは、そういうものに包まれていたい。はちみつみたいな、時の中で。

かわいいと言われること。顔を覗き込まれる。あ、目が合った。

また、くちびる、重ねてくれる?

重ねてよ。重ねて。全部うばって。溶かして。この夢に、溺れさせて。

ずっと好きだった、きみとの、夢。

 

キスの息 / aiko