夢
横に座るきみが、どうしようもなく愛おしく、かわいい、かわいいと言ってなでていた。
そしたら、いつのまにかきみのことぐちゃぐちゃにしていた、いつのまにかきみにぐちゃぐちゃにされていた。
なにもかも、全部ぐちゃぐちゃに混ざりあった、炭酸水で流し込もうか、甘ったるいトニックウォーター、甘ったるい君の唾液、ぱちぱち弾けて、どろどろに溶けていく。あたま。からだ。
とける、とろける、境目みえなくなっている。あまい。あまいなあ、あまったるい、というひらがな、まるい。やわらかい。今だけは、そういうものに包まれていたい。はちみつみたいな、時の中で。
かわいいと言われること。顔を覗き込まれる。あ、目が合った。
また、くちびる、重ねてくれる?
重ねてよ。重ねて。全部うばって。溶かして。この夢に、溺れさせて。
ずっと好きだった、きみとの、夢。
キスの息 / aiko